MetaTrader 4 (MT4)は、FX、株式、コモディティ、暗号資産市場で人気のプラットフォームの一つです。MT4 の主な特徴は、多彩なグラフィック手法で相場が表示されていることです。表示されているウィンドウの通貨ペアを単に右クリックして、"プロパティ" 、次に、"全般" に移動すると、3つのチャートを選択できます: 棒グラフ (ヒストグラム)、ロウソク足(ジャパニーズキャンドル)、折れ線グラフ (ラインチャート)。 これらのチャートにはそれぞれ特徴があるので、ここで見ていきましょう。
棒グラフ
棒グラフ、もしくは、ヒストグラムは、次のような構成です: チャート上の棒は、1日(D1)、1時間 (H1)、1分(M1)などの特定の取引期間(時間枠)を表します。棒の一番上は、その取引時間の最高値、そして、一番下が最安値を示します。棒にある平なメモリは、この時間枠での始値(左側)と終値(右側)になります。
このタイプのチャートの発展は、金融市場の進歩と市場トレンドのより効果的な分析に必要な視覚的データーと密接に関係しています。相場のグラフが最初に登場したのは、17世紀から18世紀にかけてでした。しかし、初期のチャートは、かなりシンプルで詳細な情報はありませんでした。私たちが知っている現在のような棒グラフは、19世紀後半に形になりはじめました。アメリカ人のアナリストで、Dow Jones & Companyの共同創設者であるチャールズ・ダウは、この発展の重要な人物になります。1884 年、ダウはアメリカの主要企業 11 社で最初の株式指数を作りました。そして、これらの株式の値動きを追跡したチャートを利用して、棒グラフの普及に貢献しました。ダウは、現代的な意味でのヒストグラムの発明者ではありませんが、金融分析におけるチャートの発展と有用性における重要な役割を果たしました。
20世紀初頭、株式市場の進歩とトレーダーの増加に伴い、棒グラフは値動きを分析するための標準的なツールとなりました。わかりやすく、詳細な価格情報が表示されるため人気は高まりました。棒グラフは、指定した期間の高値、安値、始値、終値の重要な項目を素早く把握できるため、市場トレンドの理解や情報に基づいた意思決定ができます。コンピュータ技術の進化とメタトレーダーのような取引ソフトウェアの進歩により、棒グラフはより広まり、便利になりました。
ロウソク足
ロウソク足は、特定の期間の価格帯を四角で表示します。ロウソク足自体は始値と終値の差です。ロウソク足の影は価格帯の高値と安値です。MT4の標準設定では、上昇のロウソク足では黒、下落のロウソク足では白になっています。しかし、色は変更できるので、好きな色のチャートに変えられます。
ロウソク足は、ジャパニーズキャンドルと呼ばれることもあり、その歴史は日本の酒田市の商人でも知られた本間宗久の時代に遡ります。この人物は金融市場の歴史的重要人物であり、特にロウソク足の考案でテクニカル分析 の発展に貢献しました。
1724年に豪商の家庭で生まれ、十分な教育を受けた本間は、世界初の先物市場と言われている大阪の堂島の米市場で有名になりました。そこで、本間は需給関係に加えて、取引人の心理も相場に大きく影響することを観測しました。
本間は、市場の心理状況を視覚するためのロウソク足分析の初期段階を考案し、価格変動を正確に予測して巨万の富を築いたと信じられていました。この手法の正確な詳細については議論や解釈の余地があるかも知れませんが、本間宗久の取引の成功は金融界の伝説の人物にしました。本間のアプローチと理論は現代の取引戦略の基礎となりました。
1980年代まで、ローソク足は日本国外ではほとんど知られていませんでした。日本のロウソク足を発見し、その有効性に衝撃を受けた米国人アナリスト、スティーブ・ニソンによりこれが変わりました。ニソンはローソク足の予測法を研究し、西洋の金融市場でも使えるようにアレンジして、これをテーマにした本も数冊執筆しました。出版後、西洋のトレーダーからロウソク足の関心が高まり、この手法の効果が認識されました。スティーブ・ニソンの著作は現在、テクニカル分析の分野で基本とされています。今日、日本のロウソク足はFXだけでなく、株式や暗号資産市場でも幅広く使われています。時を経て、多くの日本のロウソク足のパターン (十字、ハンマー、流れ星など) が特徴や目的ごとに登場してきました。数多くのローソク足のパターンは、トレンドの反転や継続の可能性を示唆しており、複雑な取引戦略ができます。
しかし、このような分析には、ロウソク足を正確に解釈するための時間と経験が必要となることに注意しましょう。同じパターンでもトレーダーによって解釈が異なることもあります。統計調査では、精度の程度がさまざまであり、多くの場合、特定のパターンや市場の状況に応じて左右されます。つまり、ロウソク足はテクニカル指標やファンダメンタル分析などのほかの分析方法と一緒に使うことをお勧めします。
折れ線グラフ
折れ線グラフは、指定した期間の終値をつなぐことで、価格変動の一般的な方向性を示すシンプルな線です。折れ線グラフの歴史は日本のロウソク足よりも古く、統計の発展や視覚的データーに関連しています。折れ線グラフは、地図製作や経済学の歴史と密接な最も古く、最もシンプルな方法の一つになります。
折れ線グラフの正確な期限は不明ですが、その要素は古代文明でも使用が見られます。エジプト人やバビロニア人は、天文学的、幾何学的なデータを表示するためにグラフィカルな手法を用いていました。中世やルネサンス期には、地理学者、天文学者、数学者などが観測や計算を視覚的にとらえるためにこのグラフを積極的に使いはじめました。
統計グラフの使用を大きく推進させたのは、スコットランドの技師で経済学者のウィリアム・プレイフェアです。1786年に出版した"商業と政治のアトラス(The Commercial and Political Atlas)" で、初めて棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフが経済データの説明のために使用されました。当時、この著書は複雑なデータをより理解しやすく、より多くの人に使いやすくするための画期的なものでした。
今日、折れ線グラフは至るところで使用されています。時系列やトレンドを表示する基本的なツールであり、株価、為替レートなどの金融指標の変化を追跡するために幅広く利用されています。シンプルでわかりやすい折れ線グラフは視覚データの人気ツールの一つであり続けています。
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3種類のすべてのチャート- 棒グラフ、ロウソク足、折れ線グラフ- 値動きを視覚的にとらえるという同じ目的ですが、方法は異なります。棒グラフとローソク足は、始値と終値、特定期間の高値と安値など、値動きに関するより詳細な情報を示します。一方、折れ線グラフは、終値のみのより全体的な表示です。
トレーダーのスタイル、好み、戦略によりこれらのチャートの選び方は異なります。棒グラフやロウソク足は、アクティブなトレーダーやテクニカル分析の利用者にとってより適している一方、折れ線グラフは初心者や長期トレンドの分析に適しています。どちらにしても、それぞれのチャートの特徴を理解して正しく解釈することが金融市場取引の成功では重要なスキルとなります。
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