EUR/USD: 利上げレースは終わりに近づいている?
- EUR/USD は、10月27日(木)まで上昇、目印となる1.0000を超えた1.0092までにとどきました。 理由は、おそらく多くの投資家がECBの会合で0.75ではなく、1.0あるいはそれ以上のベーシスポイント(bp)の利上げがあると期待したからでしょう。しかし、期待は期待のままでした。まさに、多くの市場参加者の予想通りになりました: ヨーロッパ当局は、1.25%から2.0%へ0.75bpの利上げをしました(数字では、この10年で最高になります)。
欧州中央銀行の最終的な発言では、ECB理事会が既に金融刺激策(QE)を放棄しているため既に十分に進んでいると述べています。次の会合で定期的に利上げを行うという言葉は一言も文中にはありませんでした。ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁も記者会見で、ユーロ圏の経済活動は2022年第3四半期に大きく減速する可能性があると指摘しました。これらを踏まえて、市場関係者は、ECBがヨーロッパの景気後退を見据えてさらなる急激な利上げをせずにインフレに対処しようとしていると判断しました。米連邦準備制度理事会のような積極的な行動をするのであれば、エネルギー価格の上昇を伴い、単に経済を奈落の底に突き落とすことになりかねません。
多くのアナリストは、ECBが次回12月15日の会合で75bpではなく、50bpだけ利上げをすると考えています。1月には会合の予定がないので、2月には"悲しい" 25 bpの利上げで終着地点の2.75%になるでしょう。
このような背景からEUR/USD は、再び、1.0000 台を下回りました。米国のGDPの増加もドル高に貢献しました。 +2.4%増予想のこの指標は、2022年第3四半期には前期比+2.6%増で、連続していた減少を断ち切りました: 第1四半期-1.6%減、第2四半期-0.6%減
一方で、この経済成長はFRBのさらなる金融引き締めに耐えることができることを示しています。他方で、不動産市場のような重要な構成部分では縮小していることが明らかになりました。投資額は26%以上減少、30年住宅ローンの金利は年率7%になり、住宅需要は大きく減少しています。
もちろん、これによってFRBがインフレ対策を止めるとは思えません。しかし、より慎重になることは余儀なくされるかもしれません。次回の11月2日のFRBの会合については、市場は依然として3.25%から4.0%へ0.75bpの利上げを確信しています。ただ、12月のFRBの次の動向についてですが、フェデラルファンド先物市場は50bpsまで緩やかな上昇傾向です。しかし、この予想が正しくても、ユーロとドルの金利差はあるので米国通貨を支えることになるでしょう。
EUR/USD は先週、0.9964で取引を終了しました。 アナリストの50%は、近いうちに下落が続くと見ており、20% が上昇予想、残り30% は横ばいの立場です。ここで注目したいのは、年末の予測になると、80%のアナリストが弱気シナリオを支持していることです。D1のトレンド系では、40%が赤、60%が緑です。 オシレーター系では、100%が、 このペアの買い推奨です。
EUR/USD の直近サポートは、0.9900に続き、0.9765、0.9700、0.9645、0.9580、最終的には9月28日の安値0.9535。弱気筋の次のターゲットは、0.9500。強気筋に関しては、一番に優先することは、 1.0000 のバリア突破です。その後は、1.0100、1.0250、 1.030、 1.0370でレジスタンスに直面するでしょう。
来週の最も重要なイベントは、11月2日(水)にある米連邦準備制度理事会のFOMC(連邦公開市場委員会)とその後の運営陣側の記者会見であることは明らかでしょう。これに加えて、10月31日(月)にはユーロ圏のGDPと消費者物価指数(CPI)並びにドイツの小売売上高の発表が経済指標カレンダーの予定にあります。ISM 製造業景気指数(PMI) は、翌日の11月1日、アメリカのサービス業PMIについては11月3日(木)です。さらに、11月2日と4日は通常通り、失業率やアメリカの非農業部門新規雇用者件数(NFP)などの米国労働市場の一部統計が控えています。
GBP/USD: 命より大きな懸け
- 全体的なGBP/USD の動向は、先週のEUR/USD の推移に続きました。5日間の安値は1.1257、高値は1.1645、そして終値は1.1615でした。来週、むしろ、後半は、米連邦準備制度理事会のFOMC会合に加えて、11月3日(木)にイングランド銀行の会合が予定されているためより波乱の展開となることが予想されます。
命より大きな賭けという古いポーランドのアドベンチャーシリーズがありました。我々の場合、イギリスの中央銀行の金利決定により、ポンドが今後どのようになるか決まってきます。そして、多くの“アドベンチャー” に遭遇していくことは明らかです。
財政政策の大失敗の最中、市場は一時、11月会合後のポンドレートが3.90%に達すると予測されました。しかし、投資家の選好がかなり落ち着き、現在では少なくても3.0%、つまり 75 bp の上昇が期待されています。ただ、オランダの最大手金融グループであるINGのストラテジストは、50 bpの利上げの可能性が現在、高まっていると見解しており、これはポンドにとってのマイナス材料となります。つまり、さらなる上昇は難しいでしょう。 “GBP/USD の調整は1.1750付近まで続くかもしれませんが、この上昇が長く続くとは思えない” とINGは述べています。
同業のスコシアバングは反対の見方です。こちらの見解では、10月27日に1.1650を超えることができませんでしたが、このペアは今後数週間、プラストレンドを維持するとのことです。なお、メインサポートは1.1400になるでしょう。
予想中央値に関しては、アナリストの大半(50%) は弱気側、15% が中立である一方でポンド高の支持は35%です。D1のオシレーター系では、 100%が緑である一方、この4分の1は買われ過ぎゾーンです。トレンド系では、35% が赤、65% が緑です。イギリスポンドのサポートは、1.1550、1.1475-1.1500、 1.1400、1.1350、 1.1230、1.1100、1.0985-1.1000、1.0750、1.0500と9月26日の安値1.0350。このペアが上昇推移となれば、強気筋は1.1645、 1.1720、1.1830、1.1900、1.1960、 1.2135 、1.2200でレジスタンスに直面するでしょう。
来週のイベントでは、前述のイングランド銀行の会合に加え、11月4日のイギリスの建設業(PMI)の発表が注目でしょう。
USD/JPY: このペアの崩壊の謎が明らかに
- 5月に予想したとおり、USD/JPY は、秋に115.00 となり、10月21日(金)は32年ぶりの高値更新の151.94 でした。ただ、このペアの上昇は事前に明らかでした。しかし、衝撃的だったのは、その後の大暴落です。このペアは、数分で500 ポイント以上暴落しました: 151.63 から146.24。ファイナンシャルタイムズによれば、 日本銀行(日銀) は、円を支えるために少なくとも300億ドルを売却しました。この介入後、円相場は一転して急騰しました: 一見したところ、300億ドルでは不十分のようでした。10 月 24 日月曜日にも、介入があり、145.48まで下落しました。そして、それから、また上昇しました。先週の週安値は145.10でしたが、終値はかなり高い 147.40でした。日本の岸田文雄総理大臣の"急激な円の変動は望ましくない" という最近の発言があった背景でのこのような大きな変動は気になるところです。
このようなUSD/JPY の大きすぎるボラティリティは、問題を抱えた円に対するドル需要を止めるために財務省や日本銀行が懸命に働きかける必要があることを示唆しています。“日本政府は、本当に困惑しています” とING のアナリストはコメントしています。“市場が非常に不安定であることを考えると、150.00台を引かないことに関心があることは理解しやすいですが、円高を容認すると東京が最初に抑えたい通貨の急激な売りを引き起こすリスクがあります”。
"日銀がハト派的なスタンスにならないならば、為替介入が最も現実的な選択肢であり続けます" とINGは付け加えています。しかし、 どうやら、日銀は金融引き締め策を講じる予定はなさそうです。日銀は先週金曜日、10月28日の直近の会合で-0.1%の超ハト派的なマイナス金利の据え置きとしました。つまり、今のこのペアの推移は、日銀が米連邦準備制度理事会の利上げに耐えるだけの資金力があるかどうかに左右されることになります。
現時点では、半数以上のアナリストが十分な資金力があると考えています。つまり、このペアの下落傾向の支持です。30% が中立の立場で20%がドルの新たな勝利を期待しているところです。D1 のオシレーター系では一貫性はありません: 50% は上向き、30% は下向き、20% はグレーの中立です。トレンド系では、85%が緑、 15%が赤。 直近のサポートは、146.90に続き、 145.30、 143.75、 140.60、 140.00、138.35-139.05、 137.40です。レジスタンス は、148.45、149.45、150.00、151.55。強気筋の目標は、上昇して152.00を超える足場固めです。次は、1990年の高値158.00付近。
日本経済に関する重要な統計について今週の予定はありません。唯一の関心は、11月2日(水)に発表される日銀金融政策決定会合に関するレポートで、市場参加者は規制当局の立場の変更について手がかりを少なくても掴もうとするでしょう。また、トレーダーは、11月3日が文化の日で祝日であることに注意してください。もちろん、円をサポートする日銀介入の“サプライズ” の可能性も忘れてはいけません。
暗号資産(仮想通貨): ただの上昇? それとも、下落前の上昇?
- 先週の米国の株価指数(S&P500、ダウ・ジョーンズ、ナスダック)の上昇に続き、ビットコインとイーサリアムが上昇、投資家にとっては喜ばしいことでした。BTC/USD が9月13日から$20,400を超える足固めをできないことから、強気筋は成功のための過程だと考えています。しかし、このペアが6月の中旬以来、19週間にわたり、$18,100-25,000の中期的な取引幅の$20,000のピボットポイントに沿って推移していることに注目すべきです。つまり、直近7日間の高値$21.015 の上昇は、部分的な非常に小さな成功であるとしか考えられず、弱気傾向の反転とは言えません。
FRBの金融政策による強い引き締めは既に米国経済を景気後退の一歩手前まで追い込んでいます。あと、一歩で景気後退は回避できなくなるでしょう。一部の専門家は、景気後退で少なからず、しばらくは最後までインフレを抑えることなく、米中央銀行は量的引き締め(QT)を断念せざるを得なくなるかもしれないと考えています。こうした背景から、この40日間のビットコインの相場と金の相関関係の0.5という十分な数値は、8月にはほぼゼロだった後伸びており、大幅に高くなっています。バンク・オブ・アメリカは、"金との関係が急速に高まっていることは、世界にマクロ経済の不確実性が残っている状況で投資家がビットコインを安全通貨であると見なしていることを示してるかもしれないので、市場の底値はいずれ確定するでしょう"と見解を述べています。
ビットコインコミュニティでは、来年、BTCが上昇するか、下落するか意見が分かれています。BTCが2023年の中盤から後半にかけて上昇するのでしょうが、今後、数ヶ月は暴落する可能性が高いと考えられているのが理由です。大半のアナリストとテクニカル系では、ビットコインは、今後数ヶ月で$12,000-$16,000に下落するとみられています。 これは、不安定なマクロ環境、株価、インフレーション、FRBのデーター、(少なくてもイーロン・マスク氏によれば)2024年まで景気後退が続く可能性があることと相互に関連付けられています。
例えば、有名なトレーダーのトン・ワイズ氏は、2024 年の半減期を背景に、ビットコインは来年、$100,000 になると信じています。しかし、その一方で、同氏は強気相場が始まる前に、$10,000-14,000に下落することも除外していません。 ワイズ氏によれば、ヨーロッパからアメリカへの資金流入と損失症候群が上昇エンジンとなります。 “彼らは2018年の安値のチャンスを逃しています。これは、もう一つの可能性です。ビットコインが$10,000を下回れば、投資家は、すぐに、これを使うでしょう” と投資家は説明しています。
多くのアナリストは、今度の半減期がBTC価格を大きく押し上げる可能性があると述べています。この考え方は、ストック・トゥ・フロー(S2F)モデルにビットコインの相場予想で有名な通称PlanB によっても共有されています。同じくトレーダーでアナリストのジョシュ・レイガー氏も、ビットコインの大幅な上昇を予想していますが、2024年に半減した後であると予測しています。同氏の意見では、この出来事が終わる前の上昇は期待すべきではないと述べています。
ご存じのとおり、前回のビットコインの半減期は2020年5月11日で1ブロックあたりの報酬が6.25 BTCに半減されました。この報酬が2024年5月だとされている4回目の半減期で1ブロックあたり、 3.125 BTCに再び半減されます。
伝説のトレーダーでアナリストのピーター・ブラント氏も同じ意見です。同氏は、ビットコインがおよそ32カ月ぶりの市場高値となりますが、まずは$13,000に下落すると述べています。同氏は、2023年のはじめに底値をつけ、1年半は“素晴らしい” 動きを見せないだろうと考えています。
ブラント氏によると、米連邦準備制度理事会は金融緩和政策を講じないでしょう。同氏は、当局が2022年末までに、インフレ対応のために最低2回のさらなる75ベーシスポイントの利上げに踏み切ると想定しています。しかし、こちらのアナリストは、ビットコインの相場はある時点でほかの市場に依存しなくなると予想しています。 “ビットコインは最終的にビットコインと相関関係を持つことになります”とブラント氏は述べています。同氏は、また、暗号資産が今後10年で“価値の主要な保存場所” になると注目しています。
ピーター・ブラント氏が40年以上にわたって金融市場で働いており、専門家によるレポートや資産価値チャートの分析を提供するファクタートレーディングサービスの生みの親であることを思い出してみてください。ブランド氏は、繰り返し、ビットコインが自身のポートフォリオで占める割合が大きいものの一つであると述べています。
今度は、今後2ヶ月の予想についての詳細です。MLIV Pulseの調査対象にした564人の暗号資産投資家のほとんどは、ビットコインは$17,600-25,000 での取引幅が続くと考えています。
金融会社Finderによる10月の調査によると、ビットコインは年末に$21,344 での取引になります。
トレーディング会社Eightのマイケル・ヴァン・デ・ポッペCEOの予想は、もう少々、楽観的です。同氏は、ビットコインがかなり長く$20,000 付近にいるので、そろそろ、こころから揺さぶりをかけるだろうと考えています。“ビットコインは、2-3週間以内にあらゆるレベル突破となるでしょう。そして、上昇するんだと思います。$30,000だと思います"。 この上昇は、中央集権型取引所からのビットコインの流出が物語っています: 投資家はビットコインの強さを見通してコールドウォレットに資金を移しています。
対照的に、近いうち、もしくは、2023年もビットコインの急騰は見込めないという考えのアナリストもいます。MoneyStocks のガレス・ソロウェイ氏は、非常に僅かですが$3,500に暴落する可能性さえあると指摘しています。 “近いうちに小さな反発はあるでしょうが、その後は、$12,000-13,000の波、残念ながら、$8,000-10,000へと推移していき、$3,500への下落もありえると思います” と同氏は述べています。一方で、ガレス氏は、BTC が$12,000、もしくは、それ以上に下回るなら、マイナーがエコシステムを管理しても利益が出ない可能性があると警告しています。 これは、トランザクションが処理されなくなることを意味します。そして、これは、言い換えれば、業界のダメージだけでなく、ビットコイン市場を破滅させることにもなりかねません。
ビリオネアのフランク・ジュストラ氏によれば、ビットコイン時代の終わりは、遅かれ早かれ、暗号資産を破滅させる米国当局により推し進めることになります。 “米国当局は、ビットコインではなく、自分たちが完全に管理できる独自のデジタル通貨によってブロックチェーンの方面で世界中のどの国よりも早く先に進みたいというのが本音だと思います。ほかの国と同じように、ビットコインの競争は必要としていません。つまり、国家が発行する法定通貨に対するゲームとしてビットコインを見ています” とジュストラ氏は述べており、ビットコインは世界中の政府に立ち向かうチャンスはないだろうと付け加えています。
もちろん、このような発言には警戒しています。しかし、楽観的なレビューの終わりでなければ私たちらしくありません。金融会社のFinderが実施した先ほどの調査によると、アナリスト予想の中央値では、BTCの価格は2030年までに$270,722になるとのことです。
その一方で、このレビュー執筆時の10月28日金曜日の夕方、BTC/USD は$20,600圏内の取引で、暗号資産市場の時価総額は1兆500億ドル(1週間前は913億ドル) です。Crypto Fear & Greedインデックスは7日間で23から30ポイントの7 ポイント上昇で非常に恐怖から恐怖に移りました。この指数の作成者によれば、ここでロングポジションを建てることは、一考の価値があります。しかしながら、私たちの考えでは状況が非常に不安定なため、トレーダーは出来る限り慎重になるべきでしょう。
NordFX Analytical Group
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