2022年1月10日‐14日のFXと暗号通貨の予想

EUR/USD: 1FOMC の会合を控え

  • EUR/USDは、 1.1220-1.1385範囲内の1.1300台推移で7週連続横ばい傾向です。12月のFOMC(連邦公開市場委員会)会合の議事要旨すら中央銀行の金融締めやドル高志向の深刻さを認める状況を取り除くことはありませんでした。どうやら、政府はこの国のインフレ率に怯えているようです。それに加え、コロナウィルスのオミクロン株が米国の経済活動に大きな悪影響を及ぼすことを予期していませんでした。

    FRBは、正常な状態にするため、紙幣の増刷を止め利上げに踏み切りました。近い将来の目標達成のためは、主に3つのポイントがあります: 1) 3月の緊急刺激策の縮小; 2) 3回の基準金利の引き上げで、一回目は3月の可能性もあり、その後に、3) 政府が、バランスの正常化に着手 。

    FRBのこのような意向は、リスク資産からの急激な資金流出につながりました。株価指数や暗号通貨の相場が暴落する一方で、米国債利回りやDXYドル指数は上昇でした。しかし、ドルの上昇が十分でなかったことに注意が必要です: ドルは、ユーロに対しわずか45ポイントだけしか戻らず、EUR/USDは、1.1345からピボットポイントの1.1300に下落でした。

    1月7日(金)の米国労働市場のデーター発表は、もう一つ今週の重要なイベントになる可能性がありました。非農業部門(NFP)の新規就業者件数は、249,000件から400,000件の上向き予測でした。しかし、199,000件の下落です。その一方で、失業率は予想の4.1%に対し、4.2%から3.9%へ下がりました。 つまり、投資家は、明確なシグナルを受け取れず、今週のこのペアは上値抵抗線の1.1360付近で終了しました。

    専門家の一部によれば、FRBのタカ派とECBのハト派の動向の違いが最終的には、さらなるドル高とEUR/USD の下落につながるといいます。

    ヨーロッパ政府が2021年の前回の会合で2022年のインフレ予想を引き上げましたが、依然、一時的な現象のため、まだ心配に及ばないと述べていたことを思い出しましょう。インフレ率が目標の2.0%にとどくまで、リファイナンス金利は現在の水準に据え置き、それが長期間に及ぶことを改めて発表しています。最終的に、ECBの“主な”結果は、2022年の利上げがクリスティーヌ・ラガルド総裁の “非常にありえそうもない”という発言でした。

    オランダの銀行INGグループ(Internationale Nederlanden Groep)のストラテジストは、米ドルの上昇を支持しています。EUR/USD は、今年の第2・4四半期に1.1100 に下落し、第4四半期に関しては、1.1000 を下回ることさえあり得ると考えています。

    世界有数の金融コングロマリットの一つであるHSBC(香港上海銀行)のアナリストは、INGと同じく、このペアの下落を予測しています。

    CIBC (カナダ帝国商業銀行は) EUR/USDについて、次の推移を示しました: 第2四半期 - 1.1100、第3四半期 - 1.1000、第4四半期 - 1.1000。JPモルガンファイナンシャルホールディングスでは、かなり控えめな評価で1.1200レベルを示しています。

    しかし、専門家の間では、反対の意見もあります。例えば、バークレー銀行では、既に、ドルを過大評価していると見ています。つまり、世界経済の回復やインフレ率が下がることでリスク選好や物価上昇を背景に緩やかな下落が予想されます。EUR/USDは、バークレーのシナリオだと、次のようになります: 第1四半期 - growth to 1.1600に上昇、第2四半期- 1.1800、第3四半期と第4四半期- 1.1900 圏内の推移。

    モルガンスタンレーは、FRBの利上げは、かなりスムーズに進む一方で、ほかの中央銀行はハト派からタカ派的政策に変わるだろうと考えています。これにより、政策が一致し、ドルに圧力をかけEUR/USD は、1.1800に導かれるでしょう。ゴールドマンサックスのストラテジストも同じ目標を指しています。

    短期的には、NFPの指標が低いにもかかわらず、このペアは1月のFRBの会合まで1.1300水準での推移が続き、弱気感情が優勢で1.1220-1.1385の範囲での値動きが予想されています。アナリストの70%は、この予想に賛同です。15%は中立の立場で残りの15% が強気サイドです。

    D1のインジケーターの読み取りでは、数週間にわたる横ばい傾向の影響下で一貫性がありません。オシレーターでは、60%が上向きですが、既に、 20% が買われ過ぎを示しており、20%は横向きです。トレンドインジケーターでは、55%が緑、 45% が赤です。

    直近のレジスタンスレベルは1.1385、その後は、1.1435-1.1465、1525。直近のサポートレベルは1.1275、続いて1.1220。これに続いて、昨年の11月24日の安値1.1185と1.1075-1.1100ゾーンが控えています。

    来週の経済カレンダーは、1月12日、13日、14日に米国のマクロ統計全体が注目されます。これには、12月の消費者物価指数、小売売上指数、生産者物価指数、小売売上高が含まれます。

GBP/USD: イングランド銀行のタカ派 vs FRBのタカ派

  • FRBやECBと異なり、イングランド銀行が12月に物価上昇の打破に着手したことは市場に強い印象を与えました。イギリスのインフレ率は、5.1%に上昇で10年間でのピークに達し、政府は、3年ぶりの0.1% から 0.25%の利上げをおこないました。新たなコロナウィルス株の感染状況の悪化にもかかわらずの決定でした。イングランド銀行のアンドリュー・ベイリー総裁によると、一番の課題は、社会経済への物価上昇圧力を抑えることです。

    もちろん、15ポイントベースの利上げは十分と言えるものではありませんが、一番重要なことは、既に、最初のステップを踏んだことであり、市場は2回目の利上げを2月に期待しています。

    このような期待感によりイギリス通貨は支持され、GBP/USD は、1月5日に1.3598で8週の高値更新でした。5日間の取引は、わずかながら低い1.3590で終えました。

    イギリスの投資銀行であるバークレイズのストラテジストは、ポンドが、依然、非常に過小評価されおり、米連邦準備制度理事会の政策が最終的にはドルの緩やかな下落につながると考えています。コロナウィルスの新たな感染の広がりやブレグジットによるEU関係の難しさにより、このペアが第1四半期に1.3300 に下落する可能性も排除していません。しかし、その後は、再び上昇(第2四半期 - 1.3700、第3四半期 - 1.4000) 、そして、2021年の最高値(第4四半期)に戻り、1.4200の水準に戻すでしょう。

    イギリスを代表する独立系リサーチセンターのキャピタルエコノミックススは、反対の立場です。専門家は、対照的に、ポンド安の予想で、1)弱い経済成長、2)インフレ率の鈍化、3)イングランド銀行のスローダウンを言及しています。これら3つの要因により、イギリス政府は数ヶ月のうちに1.0%ではなく0.5%までの利上げ決定をおこない市場が徐々に失望していくという考え方です。

    しかし、ポンドの上昇と下落に加えて、3つ目のシナリオがあります。INGグループのアナリストは、 ポンドは米ドル高、安定したコモディティ通貨、低利回り通貨という三角形の中央に位置すると見通しています。つまり、こちらのシナリオによれば、GBP/USD は、1.3400台の横ばい傾向です。

    このペアの直近の見方では、40%のアナリストが1.3600の水準を超える上昇の支持で、50% が1.3400を下回ることを支持、そして、10% が横ばいの支持です。

    D1のインジケーターでは、かなり、明るいムードです。オシレーターの25%はすでに買われ過ぎ圏内ですが、緑が100%です。インジケーターに関しては、90% が緑で10% だけが赤です。

    サポートは1.3525、1.3480、1.3430、1.3375で、次の強いサポートは100 ポイントも低くなります。レジスタンスレベルは1.3600、1.3735、1.3835。

    来週のイギリスからの重要なマクロ統計は少ないです。1月11日(火)と14日(金)に明らかになる製造業の生産量に関するデーターにだけ注目すればいいでしょう。

USD/JPY:5年ぶりの高値水準

  • このペアのインジケーターも緑色です。しかし、GBP/USDと違い、ドル安を示しておらず、反対に、ドル高です。

    先週、日本は自国の通貨安を必要としていると記述しました。つまり、日銀の黒田東彦総裁は、円安は経済を悪化させるよりむしろ助けになると最近述べています。政府高官によると、円の下落は輸出と企業利益の支えになります。USD/JPY チャートを見ればおわかりのように、この発言は本当に食い違っていません: このペアは、1月4日に2017年1月以来の高値更新で116.35まで上昇しました。

    ING グループの専門家によれば、このペアの上昇は、ここで止まらず、年末には120.00 が見えてくるそうです。モルガンスタンレーも、ドルを支持し、118.00の上昇を予想しています。反対に、ゴールドマンサックスでは、このペアは2023年までに111.00 に下落すると考えています。

    このペアは、先週、115.55で終了しました。既に、述べましたが、わずかながら調整にもかかわらず、D1のインジケーターのほとんどが上向きです。オシレーターに関しては、90% (10% は、買われ過ぎシグナル)であり、残りの10%はニュートラルグレーです。トレンドインジケーターでは、85%が買いの推奨、 15%が売りです。専門官もインジケーターに賛同です: 80% が強気サイド、0% が弱気、20% が中立を選んでいます。サポートレベルは115.50、115.00、114.25、113.75、113.20、112.55、112.70。直近のレジスタンスレベルは116.35。

暗号通貨: 暗号通貨の冬?それとも、一時的な凍結?

  • 北半球側は、冬の真っ只中です。そして、暗号通貨市場の天気も、これに反応して、氷点下ゼロです。相場は下落しており、暖かさの兆しもありません。1月6日夜に米連邦準備制度理事会の予定より早い、そして速いペースの基準金利の利上げのニュースで別の寒波がやってきました。これは、公開された12月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録で明らかになりました。 

    ニュースに触発された弱気筋は、攻撃を再開しました。カザフスタンの反政府勢力が投資家の不安を募ったのです。中国でのマイニングの禁止のあと、一部のマイナーがカザフスタンに移り、その結果、カザフスタンはビットコインのマイニング量世界第2位になったことを思い出してください (トップ-3: 米国 - 35.4%、カザフスタン- 18.1%、ロシア - 11.23%)。カザフスタンの騒動でインターネットは遮断され、ビットコインのネットワークのハッシュレートは大幅に下がりました。

    これら2つの出来事により、BTC/USD は200日移動平均線が通過していた$46,000付近のサポートを突破し、$42,000を下回りました。ビットコインのCrypto Fear & Greed インデックスは、100ポイントのうち15になり、非常に恐怖の圏内に下がって、市場がパニックに陥っていることを示しました。ビットコイン・ドミナンス・インデックスは、39.65%まで下げ、2021年5月の安値を記録しました (2013年の最高が95.88% だったことを思い出してください)。当然ながら、ビットコインの崩壊が暗号通貨全体を引きずりました。12月27日の時価総額が2兆4390億ドルだとすると、1月7日まで、ほぼ19%失い、1兆980億ドルに下落し、重要な心理的なレベルである2兆円を下回ったのです。

    1月26日にある米連邦準備制度理事会の次回会合前夜の弱気筋の攻撃が予想されていたことに注目すべきです。私たちのウィークリー暗号通貨ニュースレビューでは、エコノミストであるアレックス・クルーガー氏が“FEBの会合に先駆けて投資家のリスク資産からの撤退が予想される” と述べていたことを引用しました。これが、まさに起きたのです。

    多くの専門家によれば、次の強気筋の防衛ラインでは、$39,500- $41,900ゾーンで弱気筋を待ち構えているそうです。トレーディング・ビュー誌によれば、そこは、昨年の4月12日の安値付近であり、流動性が高い範囲です。ビットコインの市場高値更新時、急騰の最後の波ですら引くことはありませんでした。

    暗号通貨の8週連続の下落という事実にもかかわらず、多くの専門家や投資家は、暗号通貨の春の訪れが間近であることを予見しています。例えば、Block.One の共同設立者であり、元俳優で前米国大統領候補でもあるブロック・ピアース氏は、ビットコインが今年は$200,000になると確信しています。 政府の過剰な紙幣の増刷によりインフレを煽った結果がビットコインの上昇する大きな理由です。 “私は、ビットコインが$100,000で取引されても驚かないでしょう。瞬時に$200,000になる可能性も大いにあります” とこちらのインフルエンサーは楽観的に述べています。

    暗号通貨融資大手(60億以上)であるNexoの共同設立者のアントニ・トレンチェフ氏は、ビットコインの輝かしい未来を告げています。 “私は、ビットコインが今年、$100,000 にとどくと思います。おそらく、年内中頃までに” と同氏は予見しています。

    投資会社のAva Labsの責任者であるジョン・ウー氏は、CNBCのインタビューで暗号通貨市場の資本が2022年に5兆ドルを超えるとの見解を示しました。ウー氏の予想では、デジタル資産が今後1年間で少なくとも市場価値の2倍になる可能性があるといいます。

    Ava Labsの責任者によると、暗号通貨は、FRBの動向と2021年上旬の米国でおよそ40年ぶりの高いインフレ率という両方において唯一持ちこたえる資産クラスになります。ウー氏は、また、1コインが$75,000を超える可能性もあるが、暗号通貨市場の成長と共に、ビットコインの占める割合は30%を下回ると主張しています。

    ビットコインの見通しを評価する興味深い方法がアナリストのベンジャミン・コーウェン氏によって提唱されました。彼の見解によると、ビットコインは既に底をついていますが下落は続く可能性があり、どこかで$40,000まで下がるかも知れません。コーウェン氏によれば、BTC/USDでビットコインの価値を比べるのではなく、ほかの資産で比べる方が時々より明らかになります。例として、S&P500指数とBTC を見ることを提案しています。こちらの専門家によれば、ビットコインは、“9月に試したレベルに挑戦している”ように、既に重大なサポートレベルに達しているとのことです。

    Glassnodeの専門家も市場分析は完全に異なりますが、ベンジャミン・コーエン氏と同じです。同氏の評価方法では、この資産の非流動性が増えることによって、ビットコイン市場はかなり前向きな兆しを示しているといいます。Glassnodeは、2022年1月3日付けのレポートでビットコインの 動向と供給について調査しました。その結果、昨年は急速に流動性の低い資産の供給量が伸び、現在は全体の76%を占めていることがわかりました。Glassnode は、支出履歴のないビットコインがウオレットへ流れたことを明示しています。24%のウォレットにあるBTCの流動的ストックが、時々、支出され、または、交換されています。

    この数字は、益々、ビットコインを蓄えるためにストレージに移動させていることを示しています。また、流動性の高い供給量の減少は、大きな売りや将来的な値下がりに見舞われないことを示唆しています。

    1月26日のFRB会合まで、間もなくです。このような試算が正しいかは、その時にわかります。最後に、前述紹介したベンジャミン・コーウェン氏が述した“投資には、なんでもつきものだ”をただ思い出してみましょう。 “全てのモデルが間違いであるかもしれないが、いくつかは有用な可能性もある...”

 

NordFX Analytical Group

 

注意: これらの資料は、金融市場への投資推奨でもガイドラインでもなく、情報提供のみを目的としています。金融市場での取引には、リスクがあるため投資資金を全て失う可能性があります。

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