FXと暗号(仮想)通貨の見通し 2021年3月15日-19日

まず、先週のイベントを振り返りましょう:

  • EUR/USD. Fedの責任者であるジェローム・パウエル氏が2月4日の声明で文字通りにアメリカ株式を下落させたことを思い出してください。パウエル氏は米国債の利上げに関心はありませんでした。同時に、金融政策における時期早々の引き締めをほのめかしていました。
    また、Fedの責任者は経済の過熱からほど遠く、金利引き上げの必要性はいまだ見えないと強調していましたが、市場は金融政策の可能な変化をそれとなく示しています。それに応じて、国債はドルと共に急上昇し、株式市場は下げに転じました。S&P500は、120ポイント以上下げ、ダウ工業株30種平均は300ポイント以上も下落しました。
    そして、3月9日にはすっかり変化しました。テクノロジー関連株の強い上昇、労働市場のプラス統計、家計資産の上昇、そして、新たに1.9兆ドルの刺激策にジョー・バイデン米国大統領が署名したことでアメリカ株式市場は押し上がりました。S&P500 インデックスは、完全に回復しただけでなく、史上高値3.960を付けました。長期国債に関しては、利益に反して安定しています。申し込みは発行数の2.38倍にもかかわらず、外国人投資家が380億ドルの約20%を購入しました。
    EUR/USDは、これらの要因により、3月11日火曜日に1.1990の高値を付けました。しかし、1.2000水準には届きませんでした。このペアの下落やユーロ安は、PEPP  (パンデミック緊急購入プログラム)での債券購入率の上昇に関するECB 経営陣の声明で促進されました。しかし、それは十分な説得力がなく、PEPPの増量に関して発言はありませんでした。結果、このペアの下落は僅かであり、1.1950の水準で週の取引を終えました;  
  • GBP/USD. 益々、多くの専門家がポンドは2月24日の高値を超えるかどうかと疑問視しています。ドルと共に強化時期なのでしょうか? イギリス通貨は、2020年3月で30年になるアメリカの“盟友” (1.1410 から1.4240)に対して、2830ポイントの素晴らしい上昇を示しています。そして、過去2週間は1.3900のピボットポイントに沿った横ばいの動きが観察されています。取引範囲の上値支持は、非常に明確に描かれています: これは、1.4000でのレジデンスです。より低い二つのサポートレベルが考えられています: 一つは- 1.3850 ともう一つは - 1.3775。
    先週のGBP / USDチャートは、EUR / USDチャートと非常によく似ています。これは、ポンドとユーロが共に、米国連邦準備制度の金融政策と米国債に束縛され、現在、市場で独立した動きがとれないことを示唆しています。1.3840で5日間の週をはじめたこのペアは、週全体を上記の幅で動き、最後は1.3925で終えました。;
  • USD/JPY. 円は、ここ数週間で次々と節目を通過し、USD/JPY は8ヶ月高値を付けました。多くのトレーダーは、このような状況で買いと売り共に新たなポジションを開くことに恐れています。一方で、このペアは既に買われ過ぎあり、惰性的に依然、さらに上昇するとされていました。事実、これは起こりました: まず、109.25のレベルまで上昇し、次に108.35へと修正が続き、そして、このペアが週を終えた109.00の水平線まで新たに上昇しました; 
  • 暗号通貨. ビットコインは、2月21日に$58,340で頂点に達し、その後、$43,160まで戻し、26%縮小しました。Material Indicatorsによれば、この下落はクジラや機関が小口投資家から資産を購入したことによります。例えば、10万ドルから100万ドルのBTCの購入注文数が、Binance 暗号通貨取引所で記録的な数字を付けたことです。そして、今度は、20日後の3月12日にビットコインは、再び$58,000を突破しました。しかし、このレビューを執筆している時点では、史上高値の更新にはならず、$58,240で止まっています。
    BTC/USDは、米国株式市場が上昇中に先週上がりました。 おそらく、これが表向きの理由であり、強気筋によるというのは本当の理由ではないでしょう。$60,000以上の上昇を試みていたことは明らかでした。そして、唯一の疑問は、いつ起こるかということでした。
    CryptoQuantによれば、ビットコインの需要は増え続け、取引所での数量が2年ぶりに落ち込んでいます。ブルームバーグの専門家が2月のレポートで指摘していたとおり、ビットコインは幅広い投資家の間での人気資産になっており、彼らのポートフォリオから徐々に金と入れ替わっています。このレポートの筆者によれば、価格変動の幅が小さいことは、ビットコインが伝統的な投資資産の代替えとなったことを示しています。
    暗号通貨市場全体の時価総額もビットコインと一緒に高値を更新しています。1週間で$1444億から$1756億に増えました。そして、現在の2兆ドルというボリュームは重要な心理レベルとなるでしょう。
    興味深いことに、BTC/USD の週の20%の上昇にもかかわらず、Crypto Fear & Greed は対照的に77から70への下落でした。これは、市場の一般的な強気ムードを示している可能性があります。
    他にも、興味深い観測があります。ビットコインの市場支配は、2021年の初め以来70.4% から61.4%へと低下しています。トップ-10のアルトコインの指標も低下あるいは同水準にとどまっています。しかし、より小さなトークンの時価総額は10.3%から14.4%に上昇です。これらのコインが巨大投資家の興味を刺激することは少ないでしょう。したがって、このような統計は短期的な投機により積極的に使用され始めたことを示すに過ぎません。

 

今週の見通しに関しては、多くの専門家の意見の要約及び様々なテクニカルな方法とグラフ分析に基づき次のように言えるでしょう:

  • EUR / USD 米連邦準備制度理事会が3月16日-17日に開催されます。私たちは、公開市場委員会(FOMC)からの経済予測の要約、金利決定、金融政策の説明、理事会後のFedの運営陣による記者会見を待っているところです。金利は0.25%で変わらない可能性があります。そのため、規制当局の予測は特に興味深いものになります。高い期待感は、米国とユーロ圏の景気回復のペースのギャップを再び浮き彫りにするでしょう。投資家は、金融政策の引き締めの可能性や国債利回りに対するFedの運営陣の態度も懸念しています。1.5-1.6%の範囲内での10年利回りの安定化は株式市場を助け、EUR/USD を1.2000以上に押し上げるでしょう。
    今のところ、ドル側に利点があるようです。D1に関するグラフ分析、オシレーターの85%とトレンドインジケーターの80%を支持する70% の専門家は、このペアが1.1800-1.1850 圏内に下落すると予想しています。ここでのサポートは、1.1826で200-日間 SMAのままです。 近似サポートは1.1900。
    別の見解がH4のグラフィカル分析を支持する30%のアナリストから支持されています。タイムフレームにおけるテクニカルインジケーターに関しては、まだ、混乱しています。週間から月間予想に移り変わると、強気を支持する専門家が60%に増えるので注意しましょう。レジデンスレベルは、1.2025、1.2060、1.2170、1.2200 、 1.2270;

  • GBP/USD. 米連邦準備制度理事会の会合に加えて、イングランド銀行の会合が3月18日木曜日に開催されます。その結果は投資家に大西洋の反対側にいる同業者ほどの影響を与えない可能性があります。しかし、イギリス経済の回復情報は、明らかに提供されるでしょう。市場は、ブレグジット後の欧州連合との関係で起きていることにも懸念するでしょう。
    専門家の意見は、等しく分かれます。1/3は、H4のグラフ分析と一緒でこのペアが1.3775-1.4000 の取引幅を維持すると考えています。D1のグラフ分析を支持する1/3は、1.4240の2月24日の高値まで上昇すると予測しています。最後の残りの1/3は、このペアが1.3600圏内に下落するのを待っています;
  • USD/JPY. 日本通貨が下げ止まり、USD/JPY が-上昇するかどうかが来週には明らかになるはずです。そこには、3つの要因があります: アメリカ国債利回り、米国連邦準備制度理事会の会合、近い将来の政策決定がされる3月19日におこなわれる日本銀行の会合。
    米国債利回りが円を押し下げ、日本当局は大幅な下落反応を予期していました。日銀が、利回りコントロールを譲るかどうかは現在不明です。
    前回の円の下落と取引量の増加をもたらした3月12日のUSD/JPYの上昇に注目すべきです。これは、このペアが未だ上昇しきっていないとする多くのプレイヤーの興味を示しています。この傾向は、米国株の利回りの安定、あるいはリスク資産の積極的な売却で逆に下げることができます。
    しかし、この執筆時点で55% の専門家は、このペアが依然109.50-110.00圏内の上昇の可能性があると期待しています。20% は、横ばい、25%は下落を支持しています。H4 とD1共にトレンドインジケーターの100%は赤になっています。H4に関するオシレーターでは80%ですが、D1では35%が差し迫った下方修正を示す買われ過ぎのシグナルが既にでています。週間から月次予測の移行では、アナリストの80%がこのペアが下落し、105.00圏内に戻ると既に予測しています。サポートレベルは、108.35、 106.65、 106.10 、105.70;
  • 暗号通貨. 3月のはじめに、暗号通貨銀行のGalaxy Digital の責任者マイク・ノボグラッツ氏が2021年末のビットコインレート予想を大幅修正したことを思い出してください。“そんな気がする” “$42,000 と$60,000の間を少し停滞した後、次は$100,000とジャンプするでしょう。“と銀行家は述べました。
    ブルームバーグチームも、ビットコインの上昇について前向きです。" $50,000を突破した後、さらなる上値を試みるでしょう。この資産の需要は高くなっていて、マクロ経済指標は改善しています。” と彼らの2月のレポートで述べています。 ブルームバーグのアナリストは、ビットコインは今年$100,000になる可能性があり、価値も長期的に上昇を続けるでしょう。
    では、マイク・ノボグラッツ氏の言葉にある$42,000と$60,000の間にビットコインはどのくらい踏み止まるのでしょう? あるいは、今、私たちは大きなジャンプをする前夜にいるのでしょうか?
    多くの専門家は悲観的です。理由として、マイナーが新しいチップ搭載のビデオカードを次々に購入し、金額が高くなり、市場で供給不足を引き起こすことを指摘しています。この状況は、市場崩壊によるマイナーブームの終焉、多くのマイナーの崩壊、暗号通貨の冬が始まった2017年12月末⁻2018年1月を彷彿させます。専門家は、今回は新しい冬ではないかも知れませんが、固い霜については、全くの問題外ではないと述べています。
    長期的には、マイニングにかかる電気代もデジタル資産の上昇の妨げになるでしょう。値上がりは続き、このプロセスには、既にオランダのような国に匹敵するほどの電力を消費します。ある時点では、僅か1つのユニットの生成のために世界中の電力が必要になります。そして、これは、シンガラリティ大学の未来学者によれば、暗号市場にとって克服できない障害になるそうです。
    しかし、弱気な悲観論がある一方で、強気な楽観論も確かにあります。つまり、ARK Investment の責任者Cathie Wood 氏によれば、現時点でのビットコインの価格は不動産価格に最も相関しています。しかし、将来的には、ビットコインは債券のようにリスクの低い投資になり、投資家の推奨されるポートフォリオに組み込まれるようになると彼女は信じています。“私は、ビットコインは債券市場のようなところで扱われると思う” とWood氏は CNBCで述べています。“私たちは、40年国債の強気相場で生き残ってきました。そして、この新しい資産クラスが投資ポートフォリオの一部になっても驚かないでしょう。おそらく、60%が株式、債券が20%、暗号通貨が20%になるでしょう。”
    ビットコインのレートの予測ですが、今後10年間で100万ドル以上になる可能性があることをKraken暗号通貨取引所のCEOであるJesse Powell氏により発表されました。 “今のところ憶測に過ぎませんが、ビットコインをドルで換算するならば、無限になる傾向があることを知るべきです。"と彼は述べています。ブルームバーグの記者との対話で、Kraken の責任者もビットコインが金やほかの貴金属の支持を受けず、最終的には主な法定通貨の代替えとなると述べました。しかし、彼は急激な市場変動のリスクを伴い、価格が"いつでも50%の上昇や下落"がある可能性にも同意しています。そのため、Powell氏によれば、ビットコインの投資の際は、最低でも5年間はあなたのポートフォリオにビットコインを維持する必要があるとしています。

 

NordFX Analytical Group

 

注意: これらの資料は、金融市場での投資推奨でもガイドラインでもなく、情報提供のみを目的としています。金融市場での取引は、リスクがあり、結果として入金した資金を全て失うことがあります。

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