FXと暗号(仮想)通貨の見通し 2021年3月1日-5日

まず、先週のイベントを振り返りましょう:

  • EUR/USD.予想通り、連邦準備制度理事会の議長による声明は、非常に興味深いものでした。ジェローム・パウエル議長は、金融政策に関する半年ごとの報告書を議会に提出し、懸念されている米国経済の回復が望まれているほど良いものでははないと伝えました。2020年夏の経済活動の急増に続いて、成長率は低迷しました。失業の少なさも低下していて、家計支出もまた、上昇していません。
    2020年の不安と混乱の後、社会学的失業者層の違いについて非常に注意を払っていますが、その状況もバラ色とは言えません。連邦準備制度理事会によると、”白人“の失業率は5.7%である一方、”ヒスパニック“は、- 8.6%、黒人は、さらに高く- 9.2%です。性別による差別もあります。: 2020年の最終月は、男性の16,000人の新規雇用に対し、140,000人の女性が職を失いました。
    上記のすべてが米国経済の早期回復に向けて疑問視され、リスク感情の低下につながり、株式市場と米ドルに打撃を与えます。投資家は長期国債に関心を移しています。2021年に入って以来、10年国債の利回りは0.91%から1.56%に跳ね上がり、その上昇は最近特に著しくなっています。株価指数(特に、テクノロジー関連株価)については、急降下しています。例えば、S&P500は、2月25日から26日までのわずか2日間で最大3.8%の下落がある一方で、ナスダック総合指数も、3%以上の下落となりました。DXY ドルインデックスについても、2018年の安値に近づいており、今年は、約9%下落しています。
    このような状況で、ほとんどのアナリスト(65%)はドルが弱まり、1.2200〜1.2300圏内の上昇がありえると予想していました。: これは、2月25日のEUR / USDの最高値1.2245に近づきました。しかし、その後、投資家達は考えを変え、長期国債の利回りの上昇は現在の個人融資の金利上昇に直接影響を及ぼすと気が付いたようです。そして、それは一連の大規模倒産が始まった2008年の住宅ローン危機をすぐに連想させます。結果、ドルは、少し強くなり、EUR/USD は1.2070-1.2100圏内に下落- 昨年の12月以来、既に何度か、この圏内に移動しています。これについては、一つだけ言うことができます:市場の混乱と欧米経済の見通しに関する明確さの欠如です;
  • GBP/USD. 予想どおりに、2月22日月曜日のボリス・ジョンソン首相の声明と2月23日火曜日のイギリス労働市場からの前向きなデーター予想は、GBP / USDを2018年の最高値に押し上げ続け、1.4240の高値を付けました。
    そして、もちろん、このペアのダイナミックさはアメリカで起きていたことに影響されざる負えませんでした。そのため、EUR/USDのパラボラは繰り返され、GBP / USDは、特に買われ過ぎで2月25日木曜日は下がり、ポンドで利益を得るには何らかの理由が必要でした。
    金曜日に関しては、335ポイント下げ、1.3885のローカルボトムをつけました。これに続いてリバウンドがあり、1.3930で取引を終えました;
  • USD/JPY. 先週、このペアは、中期横ばいチャンネルで102.60-107.00と言われていました。専門家の35%だけが、このペアは、まだ、この取引範囲での上値支持線に到達していないと考えていました。確かに、D1のオシレーターの75%とトレンドインジケーターの80%も彼らと同じであり、この予測に比重がおかれ、明らかに正しいと判明しました。USD / JPYは、2月26日金曜日の午後106.70で26週間の高値を記録しました。終値は、106.55でした;
  • 暗号通貨. 私たちは、幾度となく、暗号市場への機関投資家の参入は、両刃の剣であると述べてきました。一方で、彼らは市場を非常に強く押し上げることができ、また、他方で彼らが利益修正をするなら相場は暴落する可能性があります。さらに、このような投資家の行動と感情は、規制当局や政府関連の行動と感情に大きく依存しています。私たちは、先週、このことについて完全に感じ取りました。
    2月21日にビットコインが58,275ドルの高値を付けた後、投資家たちは60,000ドルの高値を期待していました。しかし、急遽、反転し、23%の下落、$44,985に急落しました。そして、また、$50,000に戻し、再び、- $44,000へ下落です。
    多くの専門家によると、"クジラ"による巨額な利確の原因になったのは、前FRB議長であり、現在の米国財務長官ジャネット・イエレン氏の投機的な性質とマネーロンダリングに利用される可能性があるとした暗号通貨に関連した声明でした。アナリストのスヴェン・ヘンリッヒ氏によれば、財務長官は事実上にはビットコインに宣戦布告したとしています。
    “デジタル通貨は、より早くて、より安い決済手段です。しかし、そこには消費者保護やマネーロンダリングをはじめとした多くの課題があります” とジャネット・イエレン氏は述べ、また、中央銀行独自のデジタル通貨(CBDC)の立ち上げについての可能性についても言及しました。
    ビットコインの下落は、テクノロジー企業の世界的な指数の下落や大規模なコロナウイルスのワクチン接種により進んだことでもありますが、主な理由はアメリカ政府の立場です。
    ブルームバーグによれば、ビットコインのレート下落の背景に、テスラ社とスペースXの責任者であるイーロン・マスク氏が世界の富裕者ランキングで1位の座を失ったことにあるとしています。テスラ社の株価は8.6%下落し、その結果、マスク氏は152億ドルを失いました。同時に、ブルームバーグによれば、ビットコインの下落は、マスク氏自身の暗号通貨の価格が高すぎるとした声明が要因の一つかも知れないとしています。雄弁は銀であり、沈黙は金であると言われるのは当然です。マスク氏は、口を閉じておいた方がいいでしょうJ.
    もちろん、誰かが失い、誰かが見つけ出します。つまり、例えば、技術的な失敗で、フィリピンの暗号通貨取引所PDAXの一部の顧客は、市場価格の約10倍安い値段でビットコインを購入できたとBitpinas が報告しています。利用者の1人は、ビットコインを300,000ペソ(6,150ドル)で購入したことを認めている一方で、BTCの平均市場価格は約50,000ドルでした。彼は、自分のウォレットに暗号通貨を移動させました。1日後、PDAXは彼にビットコインの返却要求の手紙を送りましたが、購入者の弁護士は”適法に従った取引は合法であり、PDAXは一方的な取引撤回はできない “と主張しています。
    もう一人の利用者は、400億フィリピンペソまたは約8億2000万ドルを予想外に自分の口座で見つけました。彼が、PDAX からのこの"贈り物"を引き出したかどうかは報告されていません。
    総じて、暗号通貨取引所の信頼は、依然として、むしろ苦しいトピックスです。BDCenter Digital agencyの
     Kraken氏によるとCoinbaseとBinanceが最も安全な取引所だそうです。当証券会社NordFX も、ここで注目されており、クライアントも暗号通貨の取引や預金ができます。13年間、ハッキングは1回もなく、クライアントの資金は1ペニーも失われていません。
    2月26日金曜日の午後、BTC/USDは、$46,000圏内の取引です。 市場時価総額は1週間で1兆6,250億ドルから1兆4,100億ドルに減少しました。そして、Crypto Fear & Greed Indexは、最終的に強い買われ過ぎ圏内から中立水準に戻し、93から55への下落でした。
    アルトコインに関しては、良いニュースと悪いニュースの両方があります。例えば、GPUの最大の開発者であるアメリカのテクノロジー企業である- Nvidiaは、イーサリアムのマイニングに特化したグラフィックカードのシリーズをリリースする計画を発表しました。CNBCによれば、この3月に発売予定だそうです。
    しかし、リップルの苦難は終わりそうもないようです。世界の大手決済会社であるMoneyGramは、リップルに対する米国証券取引委員会(SEC)の申し立てにより、XRPトークンに基づく製品の使用を中止しました。SECの申し立ての状況に対して、MoneyGram に加えて、Coinbase 、OKCoin, Galaxy Digital, Bitstamp, B2C2, eToro、Krakenは、XRPトークンのサポートを既に中止しました。 資産運用会社であるグレイスケール・インベストメンツは、XRPの投資信託の清算を発表し、そして、 21Shares では、取引所での取引商品からリップルトークンを削除しました。その結果、リップルは先週に比べ45%も価値を下げ、XRP/USD は2月26日の夕方、$0.42で取引されていました。

 

今週の見通しに関しては、多くの専門家の意見の要約及び様々なテクニカルな方法とグラフ分析に基づき次のように言えるでしょう:

  • EUR/USD. レビューの冒頭での数字は量的緩和(QE)プログラムの削減や金利の引き上げについて話すことが、まだ非常に早いとした米国連邦準備委員会の考えの裏付けになります。そのため、FRBは、直近1年間のFedのバランスシートが2倍になり、インフレ期待が高まったとしてもソフトな金融政策を続けるでしょう
    しかし、米国だけが国の負債増加の問題を抱えているわけではありません。ヨーロッパも似たような問題を抱えており、金利は大西洋側よりも、さらに低くなっています。ヨーロッパ国債の収益性も上昇しています。つまり、ドイツ国債の利回りは、既に11ヵ月間の高値になりました。
    一般的に、古さと新しさの世界での課題と達成の間でのバランスは同じ水準で平均してとどまっており、変動が非常に僅かで、EUR/USDが3ヵ月横ばい傾向として反映しています。チャートを見れば、2020年12月以来、ほとんどが1.2050-1.2185のかなり狭い幅で変動しており、1.1950 と1.2350までだとわかります。
    短期的には、70%のアナリストがこのペアが1.1950-1.2000圏内まで下落を続けるだろうという見方です。H4に関するオシレーターの75%も支持されており、残りの25%は売られ過ぎのシグナルです。D1のオシレーターに関しては、赤、グリーン、灰色の割合は、ほぼ同じです。H4のトレンドインジケーターの95%とD1の65%は、赤です。
    しかし、両方のタイムフレームでのグラフ分析では、このペアの上向きの動きを選んでいます。レジデンスレベルは、1.2170、 1.2240、 1.2270。しかし、この上昇を押し上げた後、D1のグラフ分析では、1.1950の下値抵抗線までの3月中の下落を描いています。
    そして、今度は、来週の経済指標ですが、たくさんあります。まず、3月1日月曜日のECBクリスティーヌ・ラガルド総裁と3月4日木曜日に米連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長のスピーチです。ドイツやEUの消費者市場に関する統計が3月1日、2日、4日に発表されます。米国のマクロ統計に関しては、ISM製造業景気指数と非製造業景気指数が月曜日と水曜日に知らされます。そして、労働市場のデーターに関しても、水曜日と金曜日に公表されます。なお、予想では、米国非農業部門(NFP)での新規雇用者数は- 49K から148Kへと大幅増加が見込まれます;
  • GBP/USD. まず、テクニカルインジケーターの読みになります。オシレーター: H4の90%は下向きで、10%は売られ過ぎのゾーンです。; 僅か15%は、D1で下向き、50% が上向きで、35% が中立です。トレンドインジケーター: H4では80%が下向き、20% が上向き, D1では25%が下向き、75% 上向きです。
    D1のグラフ分析では、1.3860-1.4240圏内で横ばい傾向が描かれています。そして、このペアが先週の終わりにこのチャンネルの下値支持線に近づいたので、上昇するでしょう。専門家の60% は、この予想に同意しています。レジデンスレベルは、1.3960、 1.4055、1.4085 、 1.4175。
    残りの30% は、このペアがこのチャンネルの下値支持線1.3860を突破し、それから1.3800あたりで抵抗し、そして、1.3600-1.3760 圏内での上昇とする見方です。週間予想から月間予想になると、弱気筋を支持する数が65%に増加することに注意してください。
  • USD/JPY.  このペアの数ヵ月に渡る下落は、1月6日に止まり、そして、上昇し、上値チャンネルへと移動しました。D1のグラフ分析によると、USD/JPY は、現在、106.70-107.00の上値支持にほぼ達しているので、すぐに、跳ね下がるでしょう。このようなシナリオは、このペアの買われ過ぎを示している25%のオシレーターによって支持されています。これまでのところ、両時間枠での残りの75%のオシレーターと100%のインジケーターがグリーンなのは明らかです。
    専門家に関しては、1/3が強気、1/3が弱気、1/3が中立のスタンスをとっています。しかし、週間予想から月間予想になると、75%のアナリストが102.60-107.00 (このレビュー冒頭部分でふれました)の中期取引圏内にとどまることを支持、そこで、105.00中央圏内に戻ることを待っているところです。サポートレベルは、106.10 と105.70; 残りの25%の専門家は、108.00-108.50圏内に達する可能性があるとしています。;

  • 暗号通貨. 暗号通貨の人気と注目度は高まり続けています。 BDCenter Digitalによると、100件のTwitter投稿のうち12件は暗号通貨に関するものだそうです。まさに2月7日から14日の週は、ツイッターの利用者が675,000回以上ビットコインに対して言及していました。1月10日設定した直近の記録だと、ビットコインを話題にした週間投稿数は、576,000件に達しています。暗号通貨利用者の合計は、150ヶ国以上から2億人を超えています。
    先週の下落にもかかわらず、2021年は総体的に順調にスタートを切りました。このペアは、1月1日に$28,800でスタートして、これを執筆している時点は$46,000で取引されており、約60%も上昇したことになります。そして、現在、重要なことに、Crypto Fear & Greed Index は、ようやく買われ過ぎの状態から脱し、93から下落して中立の55に下落しました。
    もちろん、これは、すぐにBTC/USDの相場価格 が上昇するというわけではありません。しかし、起きていることは、多くの専門家や暗号通貨達人たちの前向きな予想を現実にしたい投資家に希望を与えています。自称ビットコインの考案者であるクレイ・グライトの姉(妹)であるリサ・エドワーズが、まず、暗号通貨が142,000ドルに上昇すると予測したことを思い出してください。エリオット波動理論に基づいて、彼女はデジタルゴールドが2021年5月までに90,000ドルに上昇、2022年1月までに55,000ドルに低下、そして、2023年3月に142,000ドルに急騰することを提言していました。
    Morgan Creek Digital Assets の共同創設者であるAnthony Pompliano氏よると、ビットコインは、この先10年間に50万ドルに達し、長期的には100万ドルに達する可能性があるとしています。
    しかし、暗号通貨の相場価格の上昇は、コロナウイルスの流行による景気後退後の世界経済の急速な回復で止まるかもしれません。この場合、中央銀行は、量的緩和プログラムの減らし、金利の引き上げ、資産の購入停止、安い通貨の増刷を始めるでしょう。結果として、最も魅力的で安全なものの1つであるビットコインへの投資の流れは、急速にストップする可能性があります。
    では、先週、私たちは何を見てきたのでしょう – 一時的な修正なのか、それとも、新しい"暗号通貨の冬"なのか? この疑問は、まだ、残ったままです。しかし、圧倒的多数の専門家(70%)は、 BTC/USD が$ 60,000-75,000 圏内の春を迎えるだろうと考えています。残りの30%のアナリストの悲観的な見方は、$30,000-35,000という数字で表しています。

 

NordFX Analytical Group

 

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